はじめに
京都学生狂奏祭に来場してくれた方、出演してくれた方、手伝ってくれた方、関わってくれた全ての方に本当に、心からお礼を申し上げます。無事に狂奏祭を終え、あの素晴らしい空間・時間を皆さんと共有できたことをとてもかけがえのないものだと思っています。
さて、狂奏祭の成功の一つに今後、京大で・京都の大学で・京都で・もっと大きな社会でこのようなイベントが行われることがあります。狂奏祭はただの楽しいイベントではなく、もっと自由に熱狂的に生きていく世界を切り開くためのイベントです。(そのためには熊野寮みたいな空間って必要だよねっていうメッセージもあります。)
なので、今回はどうやって京都学生狂奏祭をつくってきたか、なるべく詳細に・分かりやすく・やりたくなるように書いてみます。ぜひ読んで欲しいです。
前提として
前提として、狂奏祭の拠点となった京大熊野寮のことと、企画・運営を行なった熊野寮の寮外連携局について紹介をします。
京大熊野寮について
京都大学熊野寮は、学生による管理・運営が行われる自治寮です。自治とは言って仕舞えば「自分たちのことは自分たちで決める」に過ぎませんが、その恩恵はさまざまなところにあります。今回のようなイベントを寮の部局として開こうとなったのも、自治ありきですし、元々は「日本人男子学部生」しか入寮できなかった制度を「京大の学籍を有するものであれば誰でも」入寮できるようにしてきた(これによって院生や女性、留学生などあらゆる属性の人が入寮できるようになりました)ことなども「自分たちのことは自分たちで決める」精神があったからです。
しかし、この一見当たり前のことは珍しくなってしまいました。現在の学生寮は「新々寮4条件」と呼ばれる(1)大学当局の入退寮権掌握(2)全室個室(3)2・18通達の完全適用(負担区分の納入)(4)寮食堂なしの4条件を満たさなければ建てることができません(今回ライブ会場となった食堂も新しく作ることはできないのです!)。また、管理寮化された(管理寮とは自治寮の対概念で管理運営を大学や企業が行う寮のことです。)寮では寮費が元の寮費の何倍にもなり、福利厚生施設としての側面も弱まってしまっています。
熊野寮のような空間は自治空間としても福利厚生施設としても重要で残していこうという動きが強くその一環に今回の狂奏祭もありました。
詳しい話をし始めるとキリがないので、興味がある方は(みんな興味持ってくれたら嬉しいな)2023年の入寮パンフレットにいい文章があるのでぜひ読んでください↓
https://kumanoryo-pamphlet-2023.netlify.app/chapters/daigakutojiti
寮外連携局について
寮外連携局が発足したのは2022年の12月で、なんと設立1年足らずで狂奏祭を開いてしまいました(すごいでしょ)。
寮外連携局が設立されたきっかけは、Dark Blue New Sounds Orchestra(以下京大ダーク)という京大のジャズサークルが行ったDark Blue Note 2022というライブイベントでした。NFの規模縮小により、ライブ会場を探していた京大ダークの部員の友達から、「ライブハウスが抑えられなくて困ってるんだけど熊野寮でできないか」と連絡があり、困ってるなら助けようと思って熊野寮で開いてみたところ京大ダークにとっても熊野寮にとっても成功といえるイベントが行われました。今まで熊野寮のことを知らなかった人が寮を実際にとずれて知ってもらえる機会となり、もしかしたらサークルとのイベントって寮のためになるのでは、、?と思ってサークルや学生団体と連携する部局を作ろう!となって寮外連携局が設立されました。
設立されてからは文芸サークルや個人を集めて文芸誌即売会「熊野文芸市場」やサークルをたくさん集めて「サークル合同新歓」を行いました。狂奏祭は寮外連携局の3つ目の試みでした。
寮外連携局の目的は⑴イベントによる熊野寮の広報⑵学生文化の結集・創出があります。それぞれ説明します。
⑴イベントによる熊野寮の広報
僕たちは、熊野寮を守りたいと思っています。そしてそのためには熊野寮生だけでは無理だとも思っています。もっといろんな人が熊野寮のことを好きになって、自治の理念に賛同してくれたら熊野寮を守れると考えて寮外への働きかけを行なっています。僕たち寮外連携局の他にも、地域おこしと熊野寮を守ることを目的とした地域のお祭りを開く地域連帯局や留学生にもその輪を広げる国際交流局などさまざまな部局が熊野寮にあります。
イベントを打つことで、普段は知られない・来ることのない熊野寮に訪れてもらい、熊野寮のことを好きになって・知って・賛同して帰ってもらえれば熊野寮を守ることにつながると思っています。狂奏祭で受付で寮の説明をしたことはその目的からです。
⑵学生文化の結集・創出
僕たち学生はもっと自由に生きていけます。コロナ禍やそれ以前の規制から僕たちは学生寮・学部ピロティ・学園祭などさまざまな集まる空間を奪われてきました。人と集まることができないと、何も起こりません。文化も生まれません。僕たち寮外連携局は僕たち自身がイベントを運営すること、そこでみんなで集まることを通じて、学生みんながもっと活発になって欲しいと思っています。
そのために、その補助になればと思って今回この文章を残します。つまりそういうことです。次はあなたもやってください。よろしくお願いします。
本編
企画立ち上げ
局を立ち上げた時(2022年12月)からなんとなく、音楽系サークルを全部集めて音楽祭を開けたらいいねみたいな感じで話していました。実際に企画を立ち上げたのは、サークル合同新歓が終わってからの2023年4月ごろです(4ヶ月の準備で間に合わせましたがもっと余裕があった方が特にブッキングの点でいいと思います。焦るといいことがありません。)。
企画を立ち上げる際は、企画提起者からイベントのイメージ共有と仕事分担の提案を寮外連携局の会議で行いました。イベントのイメージ共有といっても初めて行うイベントなので具体的なことは言えず、抽象的な言葉ばかり並べていましたが、むしろそういった原理的な部分の共有こそしっかり行うべきだと思います。今回は、「音楽のジャンルに限らず全ての音楽サークルを集めて、入場無料でみんなに開かれた大きい音楽祭をやりましょう」って感じで話した記憶があります。「ワンドリンク制にすれば?」など収益面の不安から提案はありましたが、入場無料にはこだわりたいと伝えました。仕事分担については今までの2回のイベントからなんとなくフォーマットができていたのでそれを応用しました。以下、局員に分担した仕事一覧です。
・統括
各仕事の進捗管理や議論の舵切り、緊急度の高い意思決定、その他雑用を行いました。狂奏祭運営の意思決定は、軽微なものは統括が一人で行い、重要なものは統括が提案したものを会議で議論して決定するという形で行われました。(ちなみに、熊野寮は徹底討論の原則を掲げていて、安易な多数決などは行わずになるべく話し合おうねという精神が共有されています。)
・営業
サークルや学生オリジナルバンド、プロのアーティストなどに出演依頼を行い、連絡網につなげるまでの仕事を行います。出演依頼のための資料制作や連絡網ができるまでの連絡担当も行います(プロに関してはギャラ交渉や当日の案内までも受け持ちました。)。当初は3人で行なっていましたが、途中から4人になりサークル1、学生オリバン1、プロ2の体制で行いました。営業というのは適した言葉じゃないなとずっと思っています。
・協賛集め
企業協賛を募る担当です。当初は付きたがる人が誰もいなかったので統括が行っていましたが、途中から一人加わってくれました。ライブハウスやスタジオ、飲料メーカーなどにメールを送りまくり、返信をいただけたところとやり取りをします。お金の受け取りやポスターの受け渡しなども行いました。狂奏祭は大金を稼ぐ必要こそありませんが、続けていけるくらいのお金は稼がなければいけなかったので、協賛集めを行いました。よく協賛をしているお店に声をかけるのが一番楽です。個人的なつながりも大切です。
・クラウドファンディング
クラウドファンディングを立ち上げて記事投稿・返礼品の発送などを行います。今回はcampfireというサイトを使いました。手数料やサイト規模、そのほか各クラファンサイトの特色を調べて行うといいと思います。知名度のないところからのクラファン集めには苦難しましたが、SNSでの出演者発表などに合わせて宣伝をすることでコツコツ集めることができました。
・物販制作
お金稼ぎと楽しさのためにオリジナルグッズを作ることに決めました。物販制作担当者がデザイン制作、発注を行いました。販売数を決めることが難しかったため、取り置きフォームを作ることで予測を行いました。
・飲食
食べ物・飲み物がある方が来場者が長く楽しんでくれるだろうと思い、飲食物の販売を行いました。飲食担当の人は、何を売るか、何円で売るか、どうやって仕入れるか、どうやって作るかなどたくさんのことを考えたり必要な届出(模擬店届など。各種自治体によって異なります。)を出したり仕事量が多かったです。これを入って数ヶ月の一回生2人に任せて途中でごめんーってなりました。けど最後までやり遂げてくれてとても頼もしいしありがたいです。
・SNS広報
メインで行ったのは1人で、Twitterとインスタの投稿やDM対応を行いました。前半はクラウドファンディングにつなげることを、狂奏祭直前はハラスメント注意喚起など必要な情報の共有を行いました。
・ビラポスター
ビラとポスターのデザイン制作と発注を行いました。今回は宣伝するモノが何もないのでビジュアルデザインが必要で、作りました。今までの寮外連携局のイベントのアンケート結果から、ビラやポスターの宣伝効果が低いことは分かっていましたが、あるとテンションあがる(よく行くお店に貼ってもらうと嬉しい)。
・会場設計
建築の院生を中心に行いました。寮の模型を作ってもらい、それを囲みながらどこに何を置くか相談して決めました。動線の確保、やトイレ、装飾などさまざまなことを考えなければいけないので大変でしたがワクワクしました。模型があるといいです。
・ライブ運営
音響機材や配線について考えます。音響について詳しい人が事前に機材状況の確認を行い、設営の時に必死に配電盤を回って電力を取りました。寮は電気容量が小さいのでいろんなところから電気を引く必要があります。
・アンケート